「女性は離婚後すぐに再婚できない」ということをご存じでしょうか?
法律によって、離婚後に再婚してはいけない期間が定められているのです。
ただし、例外として離婚後すぐの再婚が認められるケースもあります。
今回は、女性にだけ定められている、離婚後の「再婚禁止期間」について書いていきます。
女性は離婚後「100日」経過しないと再婚できない
法律上、女性は離婚してから100日が経たなければ、再婚できません。
この100日間のことを「再婚禁止期間」といいます。
ちなみに、男性には再婚禁止期間はなく、離婚後すぐに再婚することができます。
離婚してすぐ再婚したいのに、離婚してから再婚するまで女性にだけ「再婚禁止期間」がある理由
では、なぜ女性にだけ再婚禁止期間があるのでしょうか?
これは、女性が子どもを産んだ場合に、「子どもの父親を決めるため」です。
法律では、
- 離婚後300日以内に生まれた子どもは「前の夫の子」と推定する
- 再婚後200日経過した後に生まれた子どもは「現在の夫の子」と推定する
と決まっています。
100日間、重なっている期間があることがわかりますね。
前の夫の子か、現在の夫の子か、決められない期間を「再婚禁止期間」としているのです。
親子関係は、扶養義務や相続権が発生する重要なもの。
法律によって、父親を明確にし、子どもの身分や生活を守ろうとしているのですね。
再婚禁止期間を守らなかった場合「罰則」はある?
では、再婚禁止期間を守らずに再婚してしまった場合、どうなってしまうのでしょうか?
ポイントは次の3つです。
- 罰則なし
- 婚姻届は受理されない
- 父親を決める裁判を行う必要がある
詳しく見ていきますね。
罰則なし
再婚禁止期間に再婚をしたとしても、特に罰則はありません。
罰金もありませんし、逮捕もされません。
婚姻届は受理されない
仮に、再婚禁止期間に婚姻届を提出しようとしても、窓口で受理してもらえません。
父親を決める裁判を行う必要がある
もしも、誤って婚姻届を受理されてしまい、再婚禁止期間中に子どもが生まれた場合は、裁判を起こし、裁判所に父親を決めてもらう必要があります。
当人同士で、父親がハッキリわかっていたとしても、裁判は行わなければなりません。
罰則がないとはいえ、裁判をしなければならなくなる可能性があるので、再婚禁止期間には十分注意しましょう。
最近ではDNA鑑定するという手段もありますね。
例外的にOK!離婚後すぐに再婚できるケース
基本的に、女性は離婚後100日間は再婚できないのですが、例外として離婚後すぐの再婚が認められるケースがあります。
次の7つのケースです。
- 離婚する前に妊娠していた(医師の証明書が必要)
- 離婚時点で妊娠していない(医師の証明書が必要)
- 離婚後に妊娠した(医師の証明書が必要)
- 前の夫と再婚する
- 高齢女性
- 子宮の全摘出をしている(医師の証明書が必要)
- 前の夫が行方不明になり離婚した
順に見ていきます。
離婚する前に妊娠していた(医師の証明書が必要)
離婚する前に妊娠していた場合、前の夫の子であることが推定されるので、離婚後100日以内でも再婚できます。
ただし、医師の証明書が必要です。
離婚時点で妊娠していない(医師の証明書が必要)
離婚した時点で妊娠していなければ、その後にできる子どもは、再婚相手の子であることが推定されるので、離婚後すぐに再婚することができます。
こちらも医師の証明書が必要です。
離婚後に妊娠した(医師の証明書が必要)
離婚後に妊娠した場合も、再婚相手の子であることが推定されるので、離婚後すぐに再婚できます。
こちらも医師の証明書が必要です。
前の夫と再婚する
前の夫と再婚する場合は、父親の決定に混乱は生じないため、離婚後すぐに再婚できます。
高齢女性
高齢女性のため、妊娠の可能性がない場合も、離婚後すぐに再婚できます。
子宮の全摘出をしている(医師の証明書が必要)
子宮の全摘出をしている女性も、妊娠の可能性がないので、離婚後すぐに再婚できます。
医師の証明書が必要になります。
前の夫が行方不明になり離婚した
前の夫が行方不明になり離婚した場合も、前の夫の子を妊娠する可能性がないため、離婚後すぐに再婚できます。
夫が3年以上生死が不明であったり、失踪宣告を受けたりした場合です。
父親が誰なのかが明確であれば、離婚後すぐに再婚できるということですね。
男性も女性も幸せになるために!離婚後すぐ再婚する場合の注意点
離婚後すぐに再婚できるケースをご紹介しましたが、一方で離婚直後の再婚は「世間の目が厳しくなる」ことも事実。
離婚後すぐの再婚となると、「不倫していたのでは?」と思われることが少なくありません。
そのようなイメージが先行するので、再婚相手が初婚の場合は特に、「家族に反対される」ことも多いようです。
一般的には、離婚後ある程度の期間を経てからの再婚のほうが、周囲の人達に理解されやすいので、状況が許すのであれば時間をかけて進めましょう。
しかし、様々な事情によって、離婚後すぐに再婚したいという場合もあると思います。
そういった場合は、「新しい環境で生活する」ことも考えてみましょう。
周囲の目を気にせず、新しい夫婦生活を送ることができます。
子連れ再婚で知っておきたい離婚から再婚までの「子どもの戸籍」
子どもがいる場合の再婚で気になるのが、子どもの戸籍ですよね。
ここでは、「離婚後」と「再婚後」に分けて、子どもの戸籍についてお伝えします。
- 離婚後の子どもの戸籍について
- 再婚後の子どもの戸籍について
重要なポイントは、「親権を持つ親の戸籍が変わったら、その子どもの戸籍も連動して変わるわけではない」ということです。
離婚後の子どもの戸籍について
例えば、前の夫との間に子どもがいて、親権は母親が持つ場合。
離婚後、母親が新しく戸籍を作っても、子どもの戸籍は「前の夫の戸籍」に残ります。
子どもの戸籍を母親の戸籍に入れるには、家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を得てから、市区町村に「入籍届」を提出しましょう。
ちなみに、「氏」とは、いわゆる「苗字・姓」のことです。
再婚後の子どもの戸籍について
再婚すると、母親は再婚相手の戸籍に入りますが、子どもの戸籍は離婚後に母親が新しく作った戸籍に残ります。
そこで、再婚相手の戸籍に、子どもの戸籍を入れるには、2つの方法があります。
- 家庭裁判所で「子の氏の変更許可」をもらう
- 再婚相手と「養子縁組」をする
「子の氏の変更許可」は、離婚後の手続きと同様に、子の氏の変更許可を家庭裁判所でもらってから、市区町村に入籍届を提出する方法ですね。
「養子縁組」は、市区町村に「養子縁組届」を提出するのですが、ここで重要なのが、再婚相手と子どもの間に「法律上の親子関係」が成立することです。
これにより、再婚相手には子どもを扶養する義務が発生し、子どもは再婚相手の遺産を相続することができるようになります。
ちなみに、子どもが15歳以上の場合は、「子の氏の変更許可」「養子縁組」、どちらも子ども本人の意思が尊重された判断が下されるので、覚えておきましょう。
実は2016年に法改正されている
長い間、再婚禁止期間は6ヶ月と定められていました。
6ヶ月から100日間に法改正されたのは2016年のこと。
2015年12月の「100日を超える期間については違憲」との最高裁の判決を受けてのものです。
しかし、現在ではDNA鑑定で父親を特定することができるため、「再婚禁止制度自体が時代遅れではないか」という意見もあります。
実際に、多くの国で再婚禁止期間を廃止していることから、日本でも再婚禁止制度自体について今後議論されていくことになるでしょう。
まとめ
今回は、女性にだけ定められている、離婚後の再婚禁止期間についてお伝えしました。
離婚そして再婚について、不安を抱えているのはあなただけではありません。
再婚してから後悔しないためにも、しっかりと正しい情報を集めて、幸せな再婚をしてくださいね!